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イチローと松坂が2年振りの対戦 緊張感あふれる10球の思い
内容:
■試合前の張りつめた空間
マリナーズ戦の1回、イチローと対戦し、三振に打ち取るレッドソックス・松坂=セーフコ・フィールド【共同】
7月25日午前10時30分(現地時間)。クラブハウスに到着したイチローは、着替えをすませると、すぐにグラウンドへ向かった。
打撃練習のないデーゲームの試合前がいつもそうであるように、イチローは、自分の定位置の芝を使って、ゆっくりと体を覚せいさせる。体を少し温めてからは、やはりいつものようにキャッチボールを始めた。
そのとき、偶然にもレフトの芝の上には、松坂大輔の姿。この日先発の彼は、遠投しながら肩を作っていたのだった。
イチローが、徐々に下がってキャッチボールの距離を広げると、2人は少し声を張り上げれば会話ができるほどの近さになったが、10分以上も談笑した2日前とは違い、互いは目も合わせない。試合開始は2時間後。張りつめた空間が、そこにはあった。
■緊張感あふれる10球
2009年シーズンは、松坂が1年の半分を棒に振ってしまい、約2年ぶりの対決。
結論から言ってしまえば、この日は松坂がイチローを抑え込んでいる。
松坂の調子そのものは、むしろ悪い部類。彼も試合後、「試合を組み立てるのに必死だった」と話したが、3回まで毎回のように得点圏にランナーを背負い、制球が定まらなかった。
しかし、イチローのときだけは別の集中力が生まれるのか、球の勢いに差。イチローも言っている。「おれのときは、いい球投げてる」。
1打席目は、カウント2-2からのスライダーに、イチローのバットが空を切り、2打席目は、カウント2-0からの4球目、イチローが低めのチェンジアップを引っ掛けてファーストゴロ。ともに、松坂のイメージした通りの結果といえよう。
ただ、駆け引きの妙は、この日の最後の対戦となった3打席目に集約される。ここでは、フルカウントとなってからイチローが4球ファールで粘った後、サードゴロに倒れるが、1球のスライダーを除き、あとは全部真っすぐ。
見えない会話がそこにあった。
「とにかく、塁に出せば、それだけでピンチを迎えることになるので、何がなんでも、抑えようと思っていました」という松坂に対し、イチローは言っている。
「その駆け引きって、皆さんが思うほど浅いもんじゃない」
緊張感あふれる10球には、互いの思いが、凝縮されていた。
■第3打席の駆け引きの続き
ただ、松坂との対戦にイチローは刺激を求め、松坂もまた、イチローとの対戦に思うところがあったようだが、試合後はともに、言葉少な。
試合全体を通してみれば、2人のパフォーマンスは微妙だった。
イチローは8回、無死満塁で打席に立つも、岡島秀樹との対戦で、なんとファーストゴロ併殺打。すでにチームは4-2と逆転はしていたが、ダメ押しを期待して盛り上がっていたファンは、大きなため息をついた。
松坂にしても、6回で球数が110球に達し、降板。結果として登板過多気味のブルペンに負担を強い、マリナーズに付け入るすきを与えてしまった。彼はそこに責任を感じていたのだろう。
対戦が3打席しかなかったことも2人にとって消化不良なら、試合で果たした役割も消化不良。
試合後、2人の言葉からうかがえるその失望感には共通するものがあった。
2人のそのもどかしい思いは、どこかで晴れるのか。まだ8月(23~25日)と9月(13~15日)に、マリナーズとレッドソックスは、対戦を残している。その6試合で再戦はあるのかどうか。
第3打席の駆け引きの続きに期待したい。
<了>